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刑務所の為に自腹を切る刑務官

◇上申後も担当変えず

 元職員は、同刑務所で受刑者に墓石作業をさせる「作業専門官」だった梅野友和さん(56)。1993年から受刑者に対する墓石製作指導や営業を1人で担当していた。

 毎日新聞が入手した当時の上司が作成した文書によると、梅野さんは、内部で「墓石の契約を取るために何の努力もしていない」と叱られたため、
11年11月16日付で、「石塔製作の作業量確保のために、対応してきたことについて」と題した文書を作成した。

 文書は所長宛てで18年間にかかった経費を列挙。(1)墓の据え付け先などに出向くガソリン代や高速代など約104万円(2)民間業者ならサービスになる、
墓につける水鉢や線香立てなど「墓装品」代に約260万円(3)「文字の彫りが浅い」「石塔に傷がある」など客のクレームに対応するため、民間業者に払った
修理費約360万円--などが自己負担だったと記載。「(総額で)724万4000円となります」と訴えていた。

 金額は18年間の受注件数から梅野さんが試算したもの。別の文書によると、上司はその後、梅野さんを呼び出し「領収書などの資料もなく、今となっては
どうすることもできない」などと話した。同席した別の上司は、客からクレームがあった場合は、報告書を作成して上司の決裁を受けるなど適切に処理するよう
記載した文書を手渡したものの、12年以降も同じ仕事に従事させ続けた。

 梅野さんは取材に対し、「修理代などの予算がなくやむを得なく手出しした。その後も『受刑者の仕事を確保しなくてはいけない』『赤字を出してはいけない』と
思って自己負担を続け、総額は約2000万円に膨らんだ」と主張する。

 梅野さんは「注文していた墓石と形状が違う」とする顧客からの苦情に対応するため、無断で別の石材(約33万円)を持ち出したなどとして昨年12月、
懲戒免職になった。梅野さんは今年2月以降、長崎地裁に5件の訴訟を起こし、これまでに肩代わりした代金や慰謝料など計約3000万円の支払いを国などに求めている。

 当時の所長と、長崎刑務所の山崎公基総務部長は取材に対し、「係争中の事案であり答えられない」としている。